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ずっと環境と人間、特にその意識に対する影響が気になっていました。一昨年、「(情報)エントロピーが高い街、たとえばプラハに住んでいると情報エントロピーが高い課題をこなす能力が高まる」という論文を見つけました。「(情報)エントロピーが高い街って、どんなとこかな?」と実際に行ってみました。

素敵な街です。治安は良いし、会った人たちはみなさん親切。その一方で「プラハの、チェコの良さを知ってくださいね!」という良い意味での熱意も感じました。そして他のヨーロッパの有名な都市とは違う、雰囲気、それも「また体験したい」ものでしたが、それも感じました。



7月、プラハからウィーンまで旅をしました。陸路移動したいなあ、と地図を眺めていると、途中にチェスキー・クルムロフという街がある。ユネスコ世界遺産に登録された美しい街らしい、ここで一泊しようと決めました。

 南ボヘミア、今のチェコ南部、ヴォルタバ(モルダウ)川が曲がりくねった地形の上にあります。14世紀からボヘミア王国の貴族ローゼンベルク家の城が建設され、修道院や市街が作られました。その後、支配者はボヘミア王家、貴族のエッゲンベルク、シュバルツェンベルク家に変わり20世紀に到る。その都度、特に城の内装や設備が重ねられ、ルネサンス、バロック、ロココ風の装飾や絵画が楽しめます。

 市街地も14世以降の建築が今でも残ってます。色鮮やかなパステルカラーの家々が並んでいるのですが、その色合いが穏やかで、プラハで見たアルフォンス・ミュシャ(ムハ)の作品の色を思い出しました。

 街はずれに1560年、というから永禄三年織田信長が今川義元を討った桶狭間の合戦の年ですが、その時、創業されたビール醸造所がありレストランがあった。そこで頼んだビール、ビフテキも良かったが川マスのソテーが美味しかった。ウェイターさんに「どこで獲れたんですか?」と訪ねたら「ほい、そこの河(ヴォルタバ)だよ、ぼくは漁師なんだ」と得意げに教えてくれました。

 チェスキー・クルムロフにはウィーンからも日帰りツアーがありますが、1泊して良かった。機会があればまた2,3泊したい、そう思います。



この2年ほど、雨が降らなければ毎朝のように、近所の鶴見川、早淵川の土手のサイクリングロードを自転車で20㎞ほど走っている。かつて勤め人だった頃、病んだウツはほぼ治ったが、不眠症が未だに治らない。早朝、昇る朝日に向かってペダルをこぐと、その夜はよく眠れる。

 

港北ニュータウンを流れる川だが、周囲には草木や動物がいっぱいいる。シラサギ、アオサギ、カワセミ、オナガやイソヒヨドリなど美しい鳥が多い。タヌキにも何度か出会った。アオサギは人を怖れず、ゆうゆうと目の前に降りてきたりする。

 

夏は気楽だ。夜明けと共にTシャツに半ズボンで走り出す。雨が降っても気にしない。新横浜の手前で驟雨が止んだと思ったら、天空に二重の虹がかかった。

 

冬はやはり辛い。頭からつま先まで重装備。7時を過ぎると、通勤通学の人が多くなるので、暗いうちから走り出す。綱島あたりで陽が登る。今、世界が始まったかのような荘厳な景色に寒さを忘れる。

 

ぼくたちの曽祖父の時代までは、冷暖房は完全ではなく、人々は季節の移ろいと共に生活していたと思う。そこでは人間のリズムと宇宙のリズムが同調していた。いや、それぞれの土地の風土、宇宙のリズムと同調するように人間の生理状態は進化してきたに違いない。今は、温度も光も自由自在になったが、そしてそれは快適なのだが、本来、身体の内側に持っていたリズム、そこからの乖離があるのではないか。時々、チューニングが必要なのではないか。

 

急ぐばかりが生きることではない。世界と宇宙と、理屈ではなくカラダでそのリズムにのる、それが大事ではないかと、自転車で走れた夜は、自然に訪れる眠りへの予感の中でそう思う。



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