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執筆者の写真傳田光洋

iPodでハマるグスタフ・マーラー

中学生ぐらいの頃から、レコードで聴くのはクラッシックだった。それ以来40年ぐらいは、メロディが美しいなじみやすい曲、チャイコフスキーの4,5,6番「悲愴」交響曲、ドボルザークの8番、9番「新世界」交響曲、チェロ協奏曲、リムスキー・コルサコフのシェヘラザードなどを聴いていた。今思えば、それらをゆったりした時間の中で聴いていたのかどうか疑問だ。落ち着きがない性格で1時間ずっとステレオの前に座っていたかどうか。


そんな奴だから長いマーラーの交響曲には縁遠かった。CDの時代になっても交響曲の1番と4番を持っていただけ。ところが2012年の秋から年明けまで、毎週日曜日、渋谷で半日すごす事情があった。映画を観て、あるときはスターバックスで本のゲラを見て、それでも時間があったのでiPodに、持っているCDを移して散歩しながら聴いていた。その時、初めてマーラーに感動した。


チャイコフスキーやドボルザークの交響曲の一節は鼻歌で歌える。しかしマーラーの交響曲では不可能だなあ。よく、コマギレにした「名曲全集」があって、「悲愴」の第一楽章、「新世界」の第二楽章などが入っている。マーラーの場合、5番の第四楽章、ヴィスコンティの「ヴェニスに死す」のBGMだった部分が入っているだけだ。マーラーの交響曲の特徴は、ずううぅっと長い複雑なメロディ・・・と言っていいのか、とにかくコマギレにできない、しかも複雑な音の流れなのだ。そして、それは一つの交響曲なら最初から最後まで聴いて初めて感動できる。たとえば有名な交響曲第1番「巨人」は第一楽章のテーマが最終楽章のなかでくりかえされ、おおきな一つの輪になっている。


あっという間にマーラーにハマり、交響曲全10曲のCDを購入(一部は複数)し、ずーっと聴いている。待ち時間や電車や飛行機の移動時間が楽しくなった。ぼく個人の嗜好だが、ヒマが1時間弱だと1番、1時間半あれば9番、2時間以上あれば2番を聴くことが多い。


さらにライブでも1,4,5,6,8,9番は聴いた。渋谷オーチャードホールで聴いた山田和樹さん指揮日本フィルハーモニーの8番はこの世のものとも思えない壮大な曲だった。いつか全曲、ライブで聴きたい。

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