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名探偵の起源はポーとドストエフスキー

  • 執筆者の写真: 傳田光洋
    傳田光洋
  • 2021年3月5日
  • 読了時間: 2分

テレビドラマの「相棒」を見ていて、水谷豊さん演じる杉下右京はシャーロック・ホームズと刑事コロンボだなあ、と思った。わずかな手がかりから核心にせまるのがホームズ流で、真犯人に心理的なゆさぶりをかけて追い詰めるのがコロンボ流。でも、ホームズにもコロンボにもモデルがいますね。ホームズのモデルはエドガー・アラン・ポーの「モルグ街の殺人事件」のデュパン、あるいは「黄金虫」のルグランにもその気配がある。共通するのは、名探偵を観察する語り手が、どちらかといえば凡庸な人物であること。例えばホームズに対するワトソンのように。


一方のコロンボですが、御存知の方も多いでしょうが、ドストエフスキーの「罪と罰」に登場する予審判事ポルフィーリイがモデルですね。老婆を殺害した主人公、セルゲイ・ラスコーリニコフに様々な心理的揺さぶりをかけて追い詰めてゆく。あれこれ揺さぶった挙句「もう一つだけ質問させてください、ほんとうにご迷惑だと思いますが!」というセリフ(工藤精一郎訳新潮文庫)。そのまんま、コロンボ経由で杉下右京につながります。


 嵐山光三郎さん「文人悪食」(新潮文庫)によれば、「エドガー・アラン・ポー」をペンネームにした江戸川乱歩さんは、ドストエフスキーの愛読者だった。「少年探偵団」の明智小五郎は颯爽とした紳士だけど、初期の「D坂の殺人事件」のころは髪がもじゃもじゃ、貧乏書生の風情です。これが金田一耕助になったという想像はたやすいが、まさかコロンボになった、なんてことはないでしょうか?

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