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執筆者の写真傳田光洋

家のあかり

高校1年の秋分の日の夜、母が喘息の発作で急逝した。家族は両親と自分だけだった。


通っていた高校は、山間部の家から電車を2回乗り継いで片道1時間半から2時間かかった。


突然の出来事で、なにがなんだかわからず、親族が集まり葬儀が終わった。たしか1週間ほど学校を休んだだろうか。通学が始まった。弁当などどうしていたのか、記憶にない。とにかく遠い高校には通い続ければならず、何もかも無我夢中で、その時期のことはよく覚えていない。


秋が深まり、日暮れが早くなり、帰宅するころには、あたりは暗くなっていた。誰もいない家に鍵を開けて入ると、やっと何が起きたのか、静かにわかり始めた。


それから数十年、ありがたいことに今ではちいさな家庭がある。


このところ、夕方自宅にいるのは自分だけのことが多い。毎晩、玄関の明かりをつけるようにしている。家族はあまり気にしていない様子だが、こまめに明かりをつけている。

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