留学していた時、指導してくださったイライアス教授はユーモアのセンスをいっぱい持ってる人だったが、その教養も広く深く、無教養なぼくにはその冗談が理解できないことがあった。これは世界各国から来てる他の研究者にとっても同じだったらしい。「ピーター(教授のこと)はぼくたちをリラックスさせようとジョークを言ってるんだろうけど、難しくてわかんないよー」と、みんな口々にボヤいていた。
一つ、憶えているジョーク。教授の部屋で電子顕微鏡写真を二人で検証していた。「ああ、これは拡大鏡がいるなあ」と引き出しから虫メガネを取り出した教授、いきなりそれでぼくの顔をみて「おお、大発見だ。モノが大きく見えるぞ。レーウェンフック以来の発見だあ」と叫んだ。
これ、わかりますか?レーウェンフックというのは17世紀、顕微鏡を発明した学者であります。科学史によほど興味が無いと知りませんよ。ぼくはたまたま高校時代の授業で習ったのをかすかに憶えていましたが。
ただ、そんなふうに文学的?だった教授のセリフで印象に残った表現がある。
自分の研究の経緯を説明していた時だった。予想どおりの結果が得られず、どうしていいかぼくは悩んでいた。すると教授は言った。
「なに、ゆっくり考え直して、ゆっくり始めればいいのさ。Not the end of the world (世界が終わるわけじゃない)」
こういう状況で使う英語には、たとえばIt could be worse (もっとひどかったかもしれない→まあ、いいんじゃない)があるけど、ぼくはNot the end of the worldのほうが好きだ。自分の悩みが、大きな世界の中では小さいもんだよ、と思い直すきっかけになるような気がする。
帰国後、さまざまなトラブル、ひどい出来事があった。それぞれの時で、絶望的な気分になったけど、Not the end of the world と心の中でつぶやくと、すっと身体が軽くなった。
傳田さんのブログ、、最近更新されていないのが残念です。
お忙しいと思いますが呟き含めて、読みたいなと望み、首を長くして時折チェックしています☺️