頭が悪い
- 傳田光洋
- 2023年11月21日
- 読了時間: 2分
更新日:2024年4月4日
頭の悪さには自信がある。特に記憶力。いわゆる「丸暗記」ができない。たとえば英単語のつづり。未だに中学生レベルの単語のつづりが怪しい。最近の”Word”は優れモノで、つづりを間違えると赤い下線が出る。右クリックすると「正しい候補」が出てくる。この機能のおかげで、英語の論文などを何とか書けている。
大学の工学部で化学を専攻したが、この化学も、実は高校の「化学I」でつまずいた。炭素(元素記号C)には「手」が4本。窒素Nには3本、酸素Oは2本、水素Hは1本。だからCH4 (メタン)、NH3 (アンモニア)、H2O(水)なんて分子ができるわけだが、なんと、この程度の事すら覚えられず途方に暮れた。
そんな時、たまたま湯川秀樹博士の弟子である片山泰久博士の「量子力学の世界」(講談社ブルーバックス)という、数式無しで量子論を説明してくれる本を読んだ。そこで原子の電子軌道の話があって、なぜ炭素4,窒素3,酸素2,水素1なのかがわかった。それ以降、それらを忘れたことはなく、ちゃんと大学を卒業できた。あつかましくも、その後、博士号までもらった。
まあ、大抵のことにおいて、そんな具合である。理由を説明してもらえないと記憶できない。たぶん、そのせいだろう。眼の前になにかの現象があらわれると「なぜ、そうなのだろう?」と考え込む習性がある。とりあえず理由がないと落ち着かない。
皮膚の研究を始めて、三十年以上、なんとか研究でメシが食えた。海外では、そこそこ評価されて招待講演の依頼もあった。そこで、なんども「君は、どうして、そう次々に当方もない仮説を思いつくんだ?」と聞かれた。「頭が悪かったからだよー」とまじめに答えています。
日本の組織、学校や学会、企業など、どこにでも規則がある。不文律なんてのもある。そういうのにも「なぜですか?」と訊いてしまう。「みんな、従ってるんだ」「ずっと、そうしてきたんだ」と怖い顔をされることが多い。当然、記憶できないまま、時が流れてゆく。
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